ベトナム・ヴィンテージのソンベ焼・ライテウ焼のお皿たち

ベトナム

ベトナムと言えば北部のバッチャン焼の方が有名な印象があるかもしれませんが、実は南部にはソンベ焼というまた別の魅力の焼き物があります。ソンベ焼は、南部のホーチミンから車で1時間前後の場所に位置するビンズオン省(旧:ソンベ省)で作られています。

以前はこのソンベ焼が一般的に使われていて、路上の屋台などでも使っているのを見かけました。(私が初めてベトナムを訪れた2000年とかはまだあった)。その後は、メラミンやプラスチックなど割れにくくて扱いやすい食器が主流となり、ソンベ焼の存在は徐々に薄れていきました。

北部のバッチャン焼はベトナムの民芸品として人気でしたが、ソンベ焼の存在は知らない人も多く、私もホーチミンへ訪れるごとにお店や市場で売っているのを探したりしましたが、見かけることも少なくなっていきました。

どちらかといえば洗練された美しいイメージのあるバッチャン焼とはまた違った魅力の「ソンベ焼」。ぽってりとした厚み、手描きのあたたかみのある筆遣い、優しい色合い、どこか懐かしさを感じるほっこりするような雰囲気がします。

ソンべ焼きの特徴のひとつが、窯の中で重ねて焼くこと!

そのため表面にはぽつぽつと跡や出っ張りが残り、ひびや歪みもあります。でも、それがこのあたたかみのあるソンベ焼の最大の特徴だと私が思っています。ぬくもりと素朴さ、絵柄の優しさなどから伝わるなんとも言えない魅力が素敵なんです!!

近年はまたソンベ焼の人気が高まってきたこともあり、ソンベ焼の新しいものも生産されるようにはなりましたが、このヴィンテージのソンベ焼で見られるこの独特の色と美しい筆使いは全く別物!!昔の職人さんたちの手仕事ぶりにはただただうっとりするばかり。ひとつひとつ絵柄のバランスや色合わせに個性があるのも魅力です。

ベトナムはフランス統治時代があった影響でしょうか。ヨーロッパの蚤の市で見かける古いお皿の絵柄などに通ずるものがあります。アジアでありながらどこかフランスのような雰囲気。

こちらは約80年前のもの。真ん中のマークは窯元の刻印。鶏モチーフはソンベ焼の絵柄などにもよく使われています。ソンベ焼は、中国からベトナム南部に伝わった陶器だからでしょうか。(中国語では「鶏」の発音が「吉」と同じで、鶏の鳴き声は夜明けを知らせるため吉を呼ぶ縁起の良いモチーフとして親しまれているのだそうです。)

こちらは、もうすぐ100年くらい経つもの!ヴィンテージというよりもはやアンティークに近いくらいの貴重な部類。ソンベ焼より更に古く「ライテウ焼」という幻に近くなりつつある品。

ヴィンテージのソンベ焼。自分だけのお気に入りを見つけて大切に使い続けていきたいお皿。

飾っておいても使っても、見るたび使うたびにきっと嬉しさがじんわりとこみあげる、そんな気持ちにさせてくれる不思議な魅力。ぜひ共感してくれる方がいてくださると嬉しいです◎

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